契約を検討される前に

当事務所とのご契約をご検討いただき誠にありがとうございます。
ご存知のとおり、通常お客様と会計事務所とは年単位のお付き合いとなる場合が多くなります。そこで、ご契約いただく前に、当所の方針についてご説明させていただきたいと思います。
お客様にご納得していただけた場合は、ぜひ、当所とのご契約のご検討をお願いいたします。

Ⅰ.自計化について
お客様とのご契約において、基本的には自計化(お客様のパソコンに会計ソフト【TKC FX2】をインストールして、毎月の取引をお客様で入力していただく方法)していただいています。
毎月、事業所へお邪魔して、会計データの点検や経営のご相談をお受けし(巡回監査といいます)、月次での決算を締めてから、後ほど巡回監査報告書とともに試算表等をお送りさせていただきます。翌月のご訪問時には前の月までの経営成績を把握していただけます。
もっとも、最新のデータは【TKC FX2】でご覧いただけます。データの細かいチェックはデータ受信後またはご訪問時にさせていただきます。
また、自計化しているお客様は、決算に際して、早くに利益や税額の予想ができ、対策を考えることもできます。・・・以上の理由から自計化をお勧めしております。
Ⅱ.経費計上について
経費計上分家事費については、自己否認していただいています
。家事・事業の共通経費につきましては適正な比率で、家事費と事業用経費に分けて計上することになります。具体的には、家族での食事、事業では使わない自動車に関する経費、自宅の家電品、作業服以外の被服費、事業に直接関係のない各種学校の費用・・・等です。

特に法人のお客様での家事費は、経営者に対する貸付金、又は、賞与とされる場合があり、貸付金金利や賞与損金不算入等思わぬ不利益を被ることとなります。経営者に対する貸付金(仮払金等の名称を問わず)の存在は、最も金融機関の嫌がることでもあります。
このような家事費の混入した帳簿によって作成された決算書では、いざ、事業を拡大するために店舗を増やしたい、従業員を増員したいといった局面でも、経営判断の基礎となる正確な数字が得られませんので役に立ちません。実際、経営者が急に亡くなった会社で、残された家族が、事業を引き継ぐべきか、このまま清算するべきかの判断ができない(会社が儲かっているのかどうかわからないため)決算書を見たことがあります。
また、このような事例も何件かお聞きしていますが、会社が安定してきた頃、「公の団体に加盟する」、「今までにない規模の大きな新しい仕事先からオファーがかかる」等の際、過去の決算書が要求されることがあります。それまで、節税(実際は脱税ですが)のため、個人的費用を会社で落として、赤字又はそれに近い決算を続けていたために、会社の発展のビックチャンスを棒に振るという事態に直面してしまうことがあります。

過去の決算書は、決して書き直すことはできません。
また、家事費は経費ではありませんので、税務上は調査で否認され、過少申告加算税、延滞税等、正規の税額の5割増し程度の納付を覚悟しなければいけません。
決算日間際に、少額な減価償却資産、消耗品等を注文していただいた場合等で、先方の納品が遅れ、今期中に事業の用に供することが出来なかった場合、たとえ納入業者のかたに当期の日付の納品書をいただいたとしても、当期の経費として計上はできません。(決算間際の取引は、調査の際、相手先等へ確認することがしばしばおこなわれます。電話一本で、事実が確認されてしまいます)
Ⅲ.収入計上について
収入につきましては、原則として、商品等の引渡しが必要な取引については「引渡し日」、サービスの提供については「サービスを提供した日」の売上となります。税金が高くなるからといって、当期に納品したのに、来期の売上にする(「期ずれ」と言われています。)・・・という処理はいたしません。反対のケースで、架空売上を立てることも致しません。

どちらも問題を先延ばししているだけで、翌期、もっと厳しくなってしまいます。売上を「除外」している事実が判明したときには、当所との顧問契約を中止させていただきます。
経費、収入計上を正しくするということは、一番の目的は、正しく事業を反映した試算表、決算書を事業に役立てていただきたいからですが、もちろん、税務調査でもあわてる必要がないということになります。

税務調査に際して、不安で眠れなかったり、不要な加算税で事業に影響が出ることを考えれば、不正な経理処理は「百害あって一利なし」と考えております。
Ⅳ.現金・預金管理について
現金管理は、特に現金商売のお客様にとって重要です。
基本的には、売上用の現金と、小口経費の為の現金に分けて管理していただいています。現金商売以外のお客様は小口経費のみになりますが、やはり現金残高を定期的に確認していただくことにより、現金取引の記帳についての間違いがなくなります。

事業にかかる収入・支出は、すべて事業用の現金又は預金から入出金して、現金・預金取引については、会計ソフト上又は手書きの「現金出納帳」「預金出納帳」に網羅されており、かつ、個人の生活費が混入することがない状況でなければ、正確な帳簿・決算書は作成できません。
当所が関与させていただいてから1年経過しても、このような状況が達成できない場合、残念ながら、当所はお役に立てませんので、契約の継続はお互いに困難と考えております
Ⅴ.ご契約期間について
当所とお客様のご契約は、申告月(個人のお客様は3月、法人のお客様は決算月から2月目)の翌月から申告月までの1年単位とさせていただいております。決算のご報告時に、更新していただけるかどうか、顧問料の改定等もあわせてご相談させていただいております。
なお、契約中途での解約は、お客様からでも当所からでも、お互いに、いつでも可能とさせていただきます。どちらにとっても、疑問や不信感を抱えながらできる仕事ではないからです。

以上ご検討の程、どうぞ宜しくお願いいたします。